元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「そのたった百年を、共に生きたいと思うのは許されないことか?」

「ですが、王」

「どうして放っておいてくれない」

 静かな口調だからこそ、トトは震えあがる。

 彼もまた、シュクルを少々変わり者の魔王だと思っていた。ときおり幼い言動をする、雛のような存在だと。だから自分が補佐として手を貸していこうと――。

「シュシュ!」

 羽音が聞こえたかと思うと、バルコニーからキッカが勝手に入ってくる。

 それを見てトトがほっとしたように息を吐いた。

「俺に連絡してくれてよかったよ。あとは任せな」

「申し訳ございません……」

「いいから」

 キッカの表情は硬い。

< 342 / 484 >

この作品をシェア

pagetop