元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 わからない、と彼は何度言ったか。そう答える自分を恥じているようには見えないし、困っているようにも見えない。

(もしかしてちょっと変わってる?)

 人と違う――というのは身体的な特徴ばかりではないのだろうか。

 一応、同じ言語を使うのだからと自分を納得させ、向こうに敵意が見られないうちに会話を続けようとする。

「あなたは亜人たちに命令して、人の住む場所を脅かそうとしている。違う?」

「違う」

 やはり即答である。

「でも実際に亜人たちは人間を襲うわ」

「人間も私たちを襲う。違うのか」

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