元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「あなたはしていないかもしれないけど、魔王なんでしょう?」

「質問の意味がわからない」

「ええと」

(……どうしよう)

 どうも調子が狂ってしまう。敵意や殺意を見せてくれればわかりやすいのに、それがまったくない。かといって、好奇心から質問を繰り返しているわけではない。

 ただ、気になるから聞いている。

 そうとしか言えないシュクルの態度は、ティアリーゼから考える力を奪った。

「あなた……私が聞いてきた魔王と違うわ」

「どう答えればいい? 喜ぶべきか不快に思うべきかわからない」

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