元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「もう聞いた。何度も言う必要があるとは思えない」

「でも、あなただって何度も言うわ」

「私は言葉が上手くないから。繰り返す必要を感じていた。そうでなければお前に伝わらないと」

「まだ伝わっていない気がするから、これからもたくさん言ってちょうだい」

「……まだ?」

 信じられないものを見る目で言われ、冗談が通じないシュクルを笑ってしまう。

 出会った頃より多くを学び成長したとはいえ、シュクルが上手く他人と関われるようになるまでもう少し時間がかかりそうだった。



***



 ――なにもかもが落ち着いた頃、ティアリーゼは部屋でドレスに身を包んでいた。

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