元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 シュクルの長い指がそれをつまんだ。

 そして、なぜかティアリーゼの頬に押し付ける。



「これは私だ」

「……ごめんなさい、もう少しわかりやすく言ってもらえるかしら」

「今朝方、脱いだ」

「なにを?」

「古い皮を」

「……あ」



 そこまで言われてようやく理解する。



「竜にも脱皮ってあるのね……?」

「いかにも」



 よくよく見てみれば、確かに爬虫類の皮だった。

 ティアリーゼも昔、蛇の皮を見たことがある。シュクルの皮――と呼ぶのはなんとなく抵抗があるが――はそれとほぼ同じ手触りをしていた。



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