元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「お前は綺麗になりたいのか。今よりも」

「え? それは……まぁ」

「皮を剥ぐか?」

「人間は脱皮しないから、そうすると死んじゃうわね」

「では、人間はどのように美しさを手に入れる?」



 シュクルの学びの時間だ――と悟る。

 下手なことを言えば、心の幼いこの魔王はそういうものだと信じてしまう。そうならならいよう、正しいことを学ばせるのが妻であるティアリーゼの仕事だった。



「そうね……。ドレスやアクセサリーを身につけるわ」

「あれはいい。集めたい」



(そういうところはちゃんと竜っぽいのね)



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