元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 甘いものが苦手ならば、こういったものをおいしいと感じるのは違うような気もした。

 だが、ティアリーゼはシュクルが嘘をつかないと知っている。甘さはともかく、おいしいと思ったのは確かなのだろう。

 そんなシュクルがなんだかいとおしく思えた。



「シュクル、あーん」

「……知っている。口を開けろという意味だ」

「そうよ」



 シュクルが少しだけ口を開ける。

 その口の中にためらいなく菓子を放り込んだ。

 シュクルという生き物の持つ獣性がなんであるか知っていながら。



「んむ」

「いつか、あなたの好きなものも食べさせてね」

「むむ」



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