元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「ふふふ、おいしい」

「……そう言うと叱られるのでは」

「あなたしかいないのに、誰が私を叱るのかしら?」

「私は叱らない」



 シュクルもティアリーゼと同じように焼き菓子を食べる。

 初めの頃に比べてずいぶん柔らかくなった顔が、ふと笑みを浮かべた。



「おいしい。うまい。美味だ」

「でしょう? 私も好きなの」

「……お前はこれを甘いと言う。そういったものを好むのは覚えた」



(そういう言い方をするってことは……)



「甘いのは苦手?」



 はっきりと眉間に皺を寄せているのを見て、そう尋ねる。

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