元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 更に数日が経過し、ついにティアリーゼは部屋を出ることに決めた。

 珍しくシュクルが様子を見に――もとい、遊びに来なかったせいもある。

(って言っても、勝手に外へ出ていいものかしら?)

 扉に手をかけ、廊下に出てみる。

 広い廊下には特に人影がなかった。見張りがいる気配もない。

 本当に自分がこの城の主を殺しに来た勇者だったのかわからなくなりながら、ティアリーゼはあてもなく歩き出した。

 初めてここへ来たときとは違い目的がないせいか、ゆっくりと城内を見ることができる。

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