元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
再び名前を出したことで驚いたのか、メルチゥがびくっと反応する。
「王の居室でしたら……こちらです」
足早に歩きだしたその背中を追いかける。
一度は警戒を緩めてくれたのに、またメルチゥは心を閉ざしてしまっていた。
(ちょっとずつこちらの人と仲良くなれたらいいんだけど)
亜人もまた忌むべき存在だと言われ、人を襲ったという話を聞くたびに心を痛めてきた。しかし、魔王がシュクルであったのと同じように、ティアリーゼの目の前にいるのはただの人でしかない。獣の耳と尾を持っているという違いだけで、日ごろ接することのない存在に怯えるのは同じだった。
(私、なにも知らなかったのね)
「王の居室でしたら……こちらです」
足早に歩きだしたその背中を追いかける。
一度は警戒を緩めてくれたのに、またメルチゥは心を閉ざしてしまっていた。
(ちょっとずつこちらの人と仲良くなれたらいいんだけど)
亜人もまた忌むべき存在だと言われ、人を襲ったという話を聞くたびに心を痛めてきた。しかし、魔王がシュクルであったのと同じように、ティアリーゼの目の前にいるのはただの人でしかない。獣の耳と尾を持っているという違いだけで、日ごろ接することのない存在に怯えるのは同じだった。
(私、なにも知らなかったのね)