元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「なぜ、人間は他者のものを奪いたがるのだろう」

 ぽつ、とシュクルが呟く。これもまた、彼の疑問なのだとわかった。

 だが、ティアリーゼには答えられない。

「それが人間という生き物です、王」

「悲しいものだな」

「はい」

 トトとシュクルの会話は淡々としている。

 『そういうものだから』と彼らは簡単に受け入れてしまえるのだ。

 ティアリーゼが亜人の行為を『そういう存在だから』と受け止めていたように。

 だからティアリーゼは困ってしまった。

 異質な生き物だと思い合っている相手に対し、シュクルが平然と聞いてきたせいで。

「……私に聞いていい質問だったの?」

「うん?」

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