元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 国を治め、統べる者の言葉。ティアリーゼの父もまた、こういったことに頭を悩ませ、相談してきたのを思い出す。

「ここ……確か、土の状態がいい土地じゃなかったかしら」

「……人間はそれを求めている?」

「かもしれない。はっきりとは言えないけれど……」

 シュクルの示した地はティアリーゼのいたタルツが統治している地ではない。レセントには複数の国があり、王もまた同じ数だけ存在している。

 隣り合う国であればまだしも、そこは名前しか知らぬ土地だった。

 為政者としての教育を受けていないティアリーゼには、どこかで聞いた話や独学で得た知識からしか答えを導くことができない。

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