元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 表情には出さないくせに、雰囲気で訴えてくるのはずるい。ティアリーゼはそっと心の中で思った。

「誰かに見られたらなにかと思われるでしょう」

「子供をつく――」

「それ以上言ったら怒るわよ」

 しゅう、と蛇に似た鳴き声がシュクルの喉から漏れる。

「私に触れたいと言ったから」

「脱いでとまでは言ってないの。そんなこと言ったら、私が変態みたいじゃない」

「もとよりお前は狂っている。私に触れたいと言うから」

「……あなたと話している方がおかしくなりそうだわ」

 とりあえずシュクルを隣に座らせる。服を脱ぐのは諦めてくれたらしかった。

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