見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

「パパと遊ぶ」とテンション高めの勇哉をベビーカーに乗せて、家族に見送られながら「行ってきます」と元気に家を出た。

「パパはどこ?」と繰り返される質問に、苦笑いであれこれ答えながら、乗り換えをなんとかこなす。

都心に近づくにつれ乗客の数も多くなり、勇哉がぐずりませんようにと心の中で祈りながら、目的の駅で無事下車する。


「ぎりぎり? ……うーん。ちょっと遅れちゃうかも」


待ち合わせの時刻である午前十一時まであと十分しかない。

ひとりなら全然間に合うだろうけれど、ちょっぴり飽きてきて不満げな勇哉を連れてだから微妙なところだろう。

改札を抜けて駅の外に出た所でふうと息をついて、急がなきゃと少し歩調を早くする。

車で向かうと前もって和哉さんから聞いていたから、電車の中で少し不安になってしまったのだが、「もう着いて待ってる。慌てず来いよ」と和哉さんからメッセージが届いたことで心の底から安堵し、心が和らいだ。

今度こそ大丈夫。私は和哉さんと勇哉の三人で幸せになるんだ。

力強く公園に向かって歩道を進み、公園入り口に近づくにつれ、緊張で鼓動が加速する。

入り口に和哉さんの姿はなかった。

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