見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
そして短く息を吐いてから、話を切り出す。
「和哉さん、お願いがあるんだけど」
「何?」
「近いうちに、会えないかな」
「良いよ。なんなら今からふらっとそっちに行こうか?」
体でリズムを取りながらアニメに夢中になっている勇哉の後ろ姿を見つめながら、ゆるりと首を振る。
「できたらもう一度、あの公園で待ち合わせをしたい」
電話越しに和哉さんが息をのんだのが分かった。
「あの場所から始めたいの」
三年前の誕生日、待ち合わせをしていた時の寂しかった記憶を、何かあるたびに思い出す。
元々あの場所は楽しい思い出ばかりだったのに、今は嫌な記憶で塗り固められてしまっている。
そんなの寂しすぎるから、新たなスタートを切ることで記憶を上書きしたいのだ。
「わかった。そうしよう」
緊張と共に思いを告げると、やや間を置いてから優しい声が返ってくる。
あの日言えなかった言葉、そして自分の思いをちゃんと彼に伝えようと、固く心に決めた。
和哉さんは翌日から会社に戻ったため待ち合わせるのは土曜日と決めて、私はそわそわしながら週末を迎えた。