見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「そっ、そんな訳ないじゃないですか! ……ただ自信が持てなくて」
「自信?」
「和哉さんがいろいろ素敵すぎて、こんな平凡な私で良いのかなって」
正直に気持ちを吐露すると、彼がふっと優しく笑いかけてきた。
「スーツを着ている間はヤギサワの看板も背負っているし、気も張ってるからそう見えるかもしれないけど、俺の中身は至って普通だよ。こうして結衣にプロポーズするのも勇気がいるし、なんなら手だってちょっぴり震えてて、情けなくて笑えてくる」
軽く唇を奪われてから改めて目を合わせると、ふっとその瞳に切なげな色が現れ出る。
「それだけ、必死なんだ。結衣を失いたくない。ずっと一緒にいたい。俺にとって結衣の存在は癒しそのものだから」
真剣な声音にキュッと胸を掴まれ、魅入られたように私は和哉さんを見つめ続けた。
「何度だって、結婚してほしいって言うから。どれほど俺が結衣に本気か、必要としているか、これからも伝え続ける。不安が吹き飛ぶくらいに。もう良いよって呆れられてもずっと」
真面目な口調が次第に砕けたものへと変わっていき、和哉さんがゆっくりと私に顔を近づけ、悪戯でもするかのように耳たぶを甘噛みしてきた。