見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
一段と強い衝撃を受け、くらりと視界が揺れる。
それは彼に他に女性がいたということだろうか。だと言うなら、まったく気づかなかった。
この三年、私は何をみていたのだろう。彼を信じ切っていた自分が馬鹿みたいだ。
それでも、記憶の中の和哉さんは今も優しくて、思い出のひとつひとつがこんなにも温かい。彼が好き。大好き。
心に強く残っている気持ちを認めると同時に、涙がこぼれ落ちていく。
「ここ一ヶ月ずっと、どうしたんだろうって考えてたんです。そういう理由だったんですね」
「……結衣さん」
和哉さんのお母さんがテーブルにハンカチを置き、そっと私の方に押し出してきた。
私はそれに手を伸ばすことも、自分の手で拭う気にすらなれないまま、涙を流し続ける。
「なんで連絡くれないのって腹がたってもいたんですけど、事故にでもあってたらと怖くもあったんです。でも無事で良かった。想像していた以上に元気みたいで、ちょっとだけ、ほっとしました」
僅かな沈黙を挟んで、和哉さんのお母さんと目が合った。私は静かに涙を落としながら、ただ見つめ返す。