見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

それ以上突っ込まれはしなかったけれど、母には私が誰を思い出しているのかバレているだろうなと、曖昧に笑ってみせた。

そのままテレビに視線を戻して、和哉さんが偶然映り込まないかと、ぼんやり見つめていたが、芸能人は次に訪れるお店の紹介を話しながら、ヤギサワホールディングスの前をゆっくり通り過ぎていった。

和哉さんは今ごろどうしているだろう。和哉さんのお母さんが「近いうち」にと言っていたし、とっくに結婚はしているよね。副社長にももうなったのかな。

ふと思いついて、私は先ほど脱いだ上着のポケットからスマホを取り出した。ヤギサワホールディングスと検索し、企業のホームページにアクセスする。

確か見れたはずだと、ページ下部にある役員一覧をドキドキしながら開いた。

代表取締役社長には和哉さんのお父さんの名前、そしてその下の代表取締役副社長の欄には八木沢和哉と、確かに彼の名前が書かれてある。

勇哉を産む少し前に見た時は、彼の名前ではなかった。

それ以来見ていないため、いつごろ副社長になったのかまではわからないけれど、海外支社から戻り日本にいるということは確かだろう。

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