君じゃなきゃ。


「さくら……?」

健人は何か聞きたげな目であたしを見てくる。

「あのね!健人……」

あたしが状況の説明をしようとしたとき、健人の後ろから同僚と思われる人が現れた。


「こらっ!杉浦!ボーッとしてんな!」

「イテッ」

同僚に背中を勢いよく叩かれた健人は、あたしと先輩から目を離す。


説明するタイミングを逃したあたしは金魚のように口をパクパクするしかなかった。


……また変な誤解しちゃったかなぁ……。


俯くあたしと、そのあたしを見ている先輩の横を通り過ぎる健人。


そのまま同僚について進むのかと思いきや、健人はあたしの隣で足を止めた。

< 105 / 357 >

この作品をシェア

pagetop