羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
「い、いま、酔ってるから正常な判断力ないです」
「そう?」
「こういうの心神耗弱状態っていうんですよね」
「あはは、良く知ってるね」
「司法試験は受けてないけど、一応、法学部出身ですから」
「そういえばそうだよね。履歴書見て驚いた」
先輩は少し考えると、「なんで? みゆ、弁護士志望だったの?」
と言う。私は思わず押し黙った。
―――あの頃の私は……。
先輩はいたずらっぽく笑って、
「……もしかして、俺が法学部に進路を変えたから? なんて……」
と言って、私はその言葉に息をのんだ。
「……っ」
私は無意識にそんなふうに進路を選んだのかもしれない。
あの頃、先輩が第一志望ではない大学、しかも違う学部に行ったと知って。
しかもそれが法学部だと知って……。
私には同じ大学は無理だったけど、自分に行ける大学の中で、ギリギリ行けそうな大学の法学部を選択した。
(もしかして、私って変なストーカー……⁉)
そんなことに急に気づくと妙に恥ずかしくなって、私は自分の顔を両手で覆った。
先輩はそんな私を見て困ったように笑うと、
「みゆ、それ反則だよ」
と、そのまま顔を近づけてくる。
私が、ぎゅう、と目を瞑ると、唇に軽く触れる感触がして、すぐ離れた。
あまりにも軽いキスに目を開けると、先輩が私をまっすぐ見ている。
そんなキスじゃ物足りない、と思って、泣きそうになった。
破廉恥だ。思考が破廉恥だ。
どうしたの、私!