羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
なんだか疲れた。そういえば、どうやってあのカードキー返そうか……。
またこちらから連絡するのもシャクだし。もういっそ捨ててしまおうか。でも悪用されてもなぁ……。そんなことを考えながら、会社のビルを出ると、
「あ、みゆ」
と先輩が手を振っている。
私は自慢の足で先輩の元まで速攻で走り、
「なにやってんですか! こんなとこで!」
と木の陰まで先輩を連れ込んで、小声で叫んだ。「それに、そもそも、勝手にカードキー、カバンに入れないでください! 迷惑です!」
私が怒っているというのに、先輩は飄々とした様子で、
「じゃ、それ受け取るからさ。ついでにご飯食べてかない?」
「おなか減ってません!」
(ってそれ、何のついでなの⁉ 受け取るだけのついでなんてある⁉)
そう思ったところで、私のお腹が見事に、ぐぅぅぅううう、と返事をしたのだった。
部活やってたから、今でも人よりお腹のヘリは早いのよぅ!
私が泣きそうな顔になると、先輩は楽しそうに笑う。
「ははは、素直なお腹だなぁ」
「ぐぬぅ……!」
「そうだ、この近くに新しくできたイタリアンの店、知ってる?」
そう言われて、私は首をぶんぶんと横に振った。そこは確か、うちの女性社員もみんな行きたがっていたお店だ。
「あそこは……だめ」
「どうして?」
「どうしてもダメ!」
「……あ、じゃあ、時々出てる屋台は?」
「屋台?」
「うん。ラーメンの屋台だよ。俺のマンションの裏手だし、出店時間もまちまちで、ほとんど知られてないんだ。おいしいのにさ」
先輩は笑う。
お腹がまた、ぐぅぅぅううううううう! とまた遠慮なく返事した。私はお腹を押さえると、
「うううう、行きます。食べたら帰ります……」
と返す。そんな私を見て、先輩はまた楽しそうに笑っていた。