羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
父が私のところに歩いてくる。
「みゆ?」
「まだ、ドキドキしてる……」
「心配させたね。今までこういうのできるだけ見せないようにしてたのに、ごめん」
「パパまで……いなくなっちゃうかと思った」
「大丈夫だよ、みゆ」
そう言われて頭を撫でられると、余計になんだか子供じみた感情が沸き起こってきて、涙が流れた。
「ごめ……子どもみたいに、こんな」
「えっと、そうだな。甘いものでも、飲む?」
父はそう言うと、私を連れてカフェに入り、席に座らせると、本当に甘そうなイチゴのクリームラテを二つ、店員さんに頼んだ。
「イチゴのクリームラテって……甘そう」
「はは、甘いものは脳を正常に動かすんだよ」
「そうなの?」
うそっぽいなぁ、と思って笑うと、父も安心したように笑った。
そしてやけに甘いクリームラテがきて、それを二人で飲む。
「でも、ごめん。非番とはいえ、逮捕しちゃったから、このまま色々手続きとかありそうで、みゆが落ち着いたら行くね」
と、父は申し訳なさそうに言った。
本当だったらさっき一緒に行っていなくちゃいけなかったんだろう。
私は自分のことが恥ずかしくなった。いつまでも私は子どものままだ。
「あ……うん、ごめん。もう大丈夫。映画は一人で見に行くから」
私は恥ずかしくて、目をそらしながら言うと、父は苦笑して、
「……わかった。でも、入場ぎりぎりまでここで待ってくれないかな?」
「別にいいけど」
「ありがと。じゃ、みゆはゆっくり飲んでいきなよ」
そう言って、先に飲み終えると会計を済ませて店を出ていった。