羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 指定された店は、会社近くの人気イタリアンだった。
 今日の今日で抑えられるのは、さすがと言うべきか。

 テーブル席には、私と宮坂さん、羽柴先輩と新田先生が4人で座っていた。

「乾杯!」

 みんなのグラスが合わさる。
とにかく今日は黙って飲む作戦で行こう。そう決めた私は最初からぐいっとシャンパンを煽った。

「新田先生って、羽柴先生の後輩なんですね」
と宮坂さんが言う。

 新田先生のこと、もういろいろ知っているようだ。さすがだ。この人についていこう、とほろ酔いの頭で考える。

「ほんとよくできる後輩だからね、頑張って引っ張ったんだ」
「こちらの方こそ、一緒に仕事したかったのでやった! って感じです」
 羽柴先輩、続いて新田先生も言う。

 先輩と新田先生、なんだか微笑ましい。信頼し合ってるのが見てるだけでわかる。
 宮坂さんもそんな二人を見て楽しそうに笑った。



 仕事の話をして、そのあと、雑談して、お酒も進んできたとき、

「新田先生、彼女はいるんですか?」
と宮坂さんがズバリと聞いた。
 お、と思って私はお酒を飲みながらちらりと二人の方を見る。


「羽柴法律事務所に来る前彼女と別れたんですよね。それからずっといません。欲しいんですけどね、彼女」
「へぇ……」

 宮坂さんの頬がほんのり紅色に染まる。私は年上なのにとてもかわいいと思ってしまった。
 いつも美人だけど、こういう顔、するんだ。女の子らしくて素直で、まっすぐで、自分にないものを持っている宮坂さんにあこがれてしまう。


 そんなことを考えていると、新田先生は、

「……タイプは、宮坂さんみたいなきれいで仕事できて、でもかわいい人かな。でもそう言う人はたいていもう彼氏がいるんですよね」

 きっぱりと新田先生は言う。その目は嘘をついているようでもなかった。
 アイドルのようなかわいい顔してるのに、恋愛では肉食系だな……そんなことを思っていると、隣で宮坂さんが真っ赤になっている。

「からかわないでください」
「実は一目ぼれしたんです」
「え? え……?」
「もし彼氏がいないなら……候補にしてくれませんか。いや、彼氏がいても候補にしてもらえると嬉しいです」

 私は二人から目が離せなくなった。
 真っ赤になって戸惑う宮坂さんを見て、なぜか私の方が緊張してごくりと唾を飲み込む。

(どうなる……どうなるんだ! これから!)

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