羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】


 私が慌てているというのに、先輩は飄々とした様子で、
「みゆは、どうしても会社での立場がやっぱり気になるみたいでさ、告白してもOKもらえないの。彼女は昔から周りの目ばかり気にしているからね」

 私はギロリと先輩を睨んだ。先輩は私の方を見ずに続ける。「でも、いざとなれば宮坂さんがいるから安心だと思ってるんだ。だからこそ、今日は知っていてほしいと思って話したんだよ」


 宮坂さんと私は唖然だ。ちらりと新田先生の方を見ると、新田先生は嬉しそうに笑っている。そして、次の瞬間、羽柴先輩は立ち上がると、まっすぐに宮坂さんに頭を下げた。


「これからも、みゆのこと、よろしくお願いします。大事な後輩で、俺のずっと好きな人なんだ」


 その真剣な声に、場の空気が変わった。私も宮坂さんも思わず言葉に詰まる。
 そんな空気を壊すように、新田先生は明るく、

「宮坂さん、僕からもお願い。所長、ほんと、女気全くなかったからみんな心配してたんです。それがずっと好きな人がいて、その人は周りばかり気にして全くうまくいかないようだって知ったら、なんだか応援したくなって」


 宮坂さんは少し悩んで口を開く。

「公表は?」
「そもそも付き合ってないですけど」

 私が突っ込んでもそれは聞こえないように、羽柴先輩は言った。

「今はまだ公表しない。でも、信頼できる一部の人間だけには知っていてほしいんだ」
「隠しておくのは難しいと思いますよ」
「うん、今だけね。それに、付き合いだしたら折を見て全体に報告するつもりだよ、結婚もしたいし」


(ちょ、待て。待ってくれ!)

 話がどんどん進む。誰か止めてくれ!
 なのに宮坂さんは全く止めてもくれず、少し悩むと、

「そうならそうと早く言ってよ!」
と私の肩を叩いた。

「……え」
「私がきゃーきゃー言ってたから言いにくかった?」
「い、いえ……そういうわけでは」
「まぁ、どっちかって言うと、羽柴先生はアイドルみたいなものだしね」
「え?」
「テレビの中の人ってこと。恋愛したい、とか、愛し合いたい、とかじゃないわよ?」

 突然そんなことを言われて、私は戸惑う。
 そして宮坂さんは羽柴先輩の方をまっすぐ見ると、

「いろいろと含めて、任せてください」

 そう言って笑った。その笑顔がとてもきれいだと思ったけど……。
 私はこの突然の状況と内容に、完全に頭が混乱していた。

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