羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 次の週になり、少し緊張していたのだけど、宮坂さんは周りに言いふらすこともなかった。
 時々あまりに行きすぎそうなファンがいれば、たしなめてくれるようにもなっていた。


 仕事でも宮坂さんに助けてもらって、プライベートでもいろんな人に助けてもらって……私は自分のことが自分で情けなくなってきていた。

 なんてダメな人間なんだろう。それを宮坂さんに言うと、

「人に頼るのが下手なのよね、柊さんは」
と笑われた。「そろそろ素直にならないと、羽柴先生、誰かに取られても知らないから。あんな風に、付き合ってもくれない女のことで真摯に頭下げる男なんて、ファンタジーの世界か羽柴先生くらいよ!」

 宮坂さんは真剣に言う。私は唇を噛み締めた。
 私だってちょっとずつ分かってきている。

 でも、長く拗れた感情が、私を素直にさせてはくれない。
 素直になるって、どうしたらいいんだろう。

 私は、こんなところまで、いつまでも子どもだ。
 こんな私の本音を知って、羽柴先輩が呆れてしまったらどうしよう。

 そんなことを考えると泣きそうになる。
 するとそんな私を見て、宮坂さんは私の肩を叩いた。

「肌を合わせればわかることもあるわよ」
 宮坂さんは笑った。

「は、肌って……!」

 なんかヤラシイ! ヤラシイです! 宮坂さん!


 でも、今週、宮坂さんの雰囲気ががらりと変わって、さらに女性らしく、柔らかくなっていることに私は気づいていた。

「あ、あの、宮坂さんと新田先生って……」
「付き合ってるし、もうしたわよ。もちろん」

 そう言って笑った。

(お、大人だ……)

「そう言うことしたら……何か変わりますか」
「うん。当たり前でしょ。そんな待ったばかりかけて、いいことあるの? 感情がうまく表現できないならなおさら、言わなくても伝わる方法選ぶけどな」

 宮坂さんはそう言うと、その場を後にした。

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