羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
先輩の家は玄関までしか入ったことはなかったけど、室内も想像以上に広かった。
ソファの前のローテーブルに日本酒とグラスを出してくれて、私はそれを注ぐ。
ふたりで乾杯をして一口飲むと、
「おいしい!」
私は叫んだ。
あぁ、やっぱりそれだけの品質なんだよね。おいしい。
「ウン。確かに飲みやすいね。俺は日本酒あまり飲まないけど、これなら飲めるな」
先輩も笑って、少し目が合う。それだけで私の心臓は限界までドキドキと鳴った。
どうしよう、キスとか、されるだろうか。
覚悟して黙り込むと、先輩はその場を立ち上がりキッチンの方へ行く。
私は拍子抜けして先輩を見上げた。
「なにかつまみでも作るね」
「作れるんですか?」
「食べたら、これから俺のことを羽柴シェフと呼ぶことになるよ」
「なにそれ」
私がくすくすと笑うと、先輩も楽しそうに笑う。
なんだかこの空間がとても心地よかった。