幼かった恋心
自分でも分かるくらいに声は上ずっていた。私の心臓は、光志くんにも聞こえてしまうのでは無いかと思う程に大きくなっている。


私と光志くんしかいない教室という事と、照らしている陽で赤く染る私の顔が見えずらい……というのが唯一の救いだ。


「……な、なに?」

「高校は別ですね。」

「そうだね。今まで話してたのに嘘みたいになるんだよね。」


期待していたのが恥ずかしくなるくらいに、それはいつも通りだった。


明日もまた同じ学校に通って、おはようと笑い合うような、そんな感じさえしてしまう。


「じゃあ俺はもう行くね。今までありがとうございました。」


今までありがとうなんて言うような、変にかしこまった事はいわないタイプの光志くん。


それは卒業という事なのにか、私への気持ちへなのか……もう聞けないけど。


「時間はあっという間だね。こちらこそありがとう。」


私は上手く笑えているのだろうか。


光志くんが教室を出ると、私の視界が揺れた。


卒業式ですら泣かなかったのに、泣きたくない気持ちとは裏腹に、涙は頬を伝った。


光志くんの友達がトイレに行き、光志くんが廊下で待っているのを見ると、体は動いていた。


「光志くん!」


光志くんも驚いていたが、自分でもこんなに積極的になっていた事に驚いている。
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