まだ、青く。
#9 好きなんです。
「いやぁ、明日から遂に冬休みか~」

「がっつり宿題出てしまいましたから、部活はほどほどにしましょうね、部長」

「ってかさぁ、なんかあめんぼさんさぁ、キャラ変したよな?千の2代目みたい」

「そりゃあそうですよ。わたしがしっかりしないと、部長は怠慢になりますから」

「はぁ?!」


相変わらず賑やかな3階のすみっこの部室。

兆くんは千先輩と交際を始め、今のところ順調のよう。

受験勉強真っ只中の千先輩と予定を合わせてたまにデートにも行っているみたいで、アオハルを謳歌している。


「あっ。そういえば、鈴ちゃん」

「あっ、はい」


兆くんに対してのみ毒舌キャラに変身する潤ちゃんは、私には変わらず優しく接してくれる。

その落差にもだいぶ順応してきた。


「この前お誘い頂いていたクリスマスパーティですが、ぜひ参加させて頂きます」

「あっ、ちなみにぼくも」

「はいっ!もちろんです。家族皆喜ぶと思います」

「それは良かったです。楽しみにしてますね」


夏目家恒例のクリスマスパーティは、いくら平日であっても必ず25日に行うことになっている。

翌日の私の誕生日会とも兼ねているから、母は腕を奮って料理をたくさん用意するし、父はわざわざ隣の市にある口コミ1位のお店からケーキを買ってくる。

それくらい気合いをいれているパーティだし、潤ちゃんが来ると知れば、渉も何かしら企んでお近づきになろうとするはず。

帰ったらすぐに知らせて、当日は全力でフォローしなきゃ。

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