ややぽちゃ姫と3人の王子様


「望愛はダイエットしなくても可愛いし。
 僕は、もっと太らせたいくらいなの」



 ユルふわの雨ちゃんの髪が、
 桜混じりの風で優しくなびく。

 

 私のことを溺愛してくれてるのがわかるほど、
 穏やかな微笑み。



 単純な疑問を、私はさらっと口にした。

 

「なんで雨ちゃんは、いつも私に優しいの?」




 むち君だったら

『痩せろ!』『甘えんな!』


 頭に角が生えてるんじゃ?って錯覚するほど

 鬼と悪魔がミックスされたように、
 怒鳴ってくるよ。



「ジョーの代わりに、僕とムッチーが
 望愛のお兄さんになってあげるって。
 あの日、約束したでしょ?」


 

 
 お兄ちゃん代わりとしての溺愛だって、
 わかってはいるけれど。


 甘い言葉攻めの日々で、勘違いしそうになる。


 私のこと、一人の女性として
 見てくれてるの?って。


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