ややぽちゃ姫と3人の王子様



「望愛の手、こんなに冷たくなってる。
 汗で体が冷えちゃったんだね」


 雨ちゃんが、私の手を包んでくれて。


「気づかなくてごめん。
 風邪ひいちゃうから、着替えておいで」


 お兄ちゃんというより、恋人っぽい微笑みを
 私に向けてくれて。


「望愛の好きなコーンスープ、温めておくからね」



 雨ちゃんが
 私を包んでいた手を離した瞬間

 思い出してしまった。




 雨ちゃんは私の初恋で。


 お兄ちゃんが亡くなるまで

『いつか、雨ちゃんの彼女になりたいな』


 甘ずっぱい恋心を、抱いていた自分のことを。
 




 うわぁぁぁ///


 早く、心の奥の初恋ボックスに
 蘇った記憶を押し込まなきゃ!



 だって私、
 一生恋をしないって、誓ったんだから!!




「きっ…着替えてくるね。
 雨ちゃん……また後でっ」



 雨ちゃんを大好きだった記憶に
 私の心が乱され。


 逃げるように、私は
 自分の家の玄関に飛び込んだ。






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