ややぽちゃ姫と3人の王子様



 家の前で、心配顔の母さんが駆けてきて。


「昼に帰るって言ったでしょ?
 道に迷ったの?」

 俺の両肩を掴んで聞いてきたから。


 『はぁ~、やっぱバレてるじゃん』

 って、すっげー恥ずかしくなった時


 俺を庇うように、望愛が言ったんだ。



『むち君。私と遊んでくれてたんだよ』


『帰りたくないって、
 ワガママ言っちゃってごめんね』って。



 俺の代わりに嘘をついて、
 謝ってる望愛を見て。



 何、
 こんなガキにフォローされてんの?

 俺って、ダッサ~。


 自分が、めちゃくちゃ情けなくて。
 


「むち君、また遊んでね~」


 笑顔で俺に手を振って、家に入って行く望愛が
 無性に可愛く見えて。




 そっからの俺は、もうダメ。


 完全、望愛の沼にハマりっぱなし。

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