推しと乙女ゲーム展開になっていいはずがない
まるで告白じゃないか。
私の妄想エンカウントはこんなはずじゃなかった。
現実とはいつも思い通りにいかないものだ。
返事を待つ時間がとてつもなく長く感じる。
伊澄蒼は今、どんな顔をしているのだろう。
驚いているだろうか。笑ってくれるだろうか。
いや、きっと困ってしまっているだろう。
息をしていないのにも気づかず、私の体はどんどん小さくなっていく。
その時だった。
ぽんっと頭の上に暖かい感触。
驚いて目を開けると、目の前の伊澄蒼はにっこりと笑っており、涙が止まらない私の頭の上に、手を置いていた。
「そうかなって思ってた。ありがとうね」