1ページホラー学校編
うおぼら

(女性13歳、中学生)

これは去年の修学旅行で体験した話です。

修学旅行は京都でした。

清水寺に行ったり、古風な町並みを散歩したりとても楽しかったです。

夜は古そうな木造の旅館でした。

入る時はなんか怖いね、と友達と話していましたが、夕食や露天風呂は立派でとても満足していました。

部屋も広く、グループ6人全員の布団を並べても余裕がありました。

夜は遅くまで起きて、先生の見回りの時だけ声を潜めて過ごしたり、恋バナしたりととても楽しんでいました。

そんな感じで楽しい夜でしたが、昼の疲れもあり、いつの間にか寝てしまいました。

ふと人の気配で目が覚めました。

友達がトイレでも行ったのかなと思っていましたが、私にかかる影で私を覗き込んでるのがわかりました。

え、なんだろう。

不思議さと不気味さを感じ薄目にして「うぅ〜ん」とわざとらしく寝返りを打ちました。

そこには三度笠をかぶった男がいました。

思わず目を見開いてしまい男と目が合ってしまいました。

男はもちろん先生でもなく、暗闇の中でも不思議と輪郭がくっきりとしていました。無表情でこちらを見ているけど、私を見ていないような……。

お互い一切動かず、どの位時間が経ったかわかりませんが、

「うおぼら」

男はぼそっとつぶやいていました。

それを聞いた瞬間、私は気を失いました。

翌朝、昨日のことを私のグループに話しました。誰もそんな体験をしていないと言って面白がっていました。

その日も同じ旅館で寝ることになっていましたが、私はその夜気持ちが悪いと先生達の部屋で寝かせてもらいました。

修学旅行最終日、朝にグループの部屋に戻ると皆部屋の隅で固まっていました。

何があったのか聴きましたが誰も答えてくれず、修学旅行からそのグループの友達からはハブかれるようになりました。

別の友達から聞いた話だと私は裏切り者なんだそうです。

「うおぼら」

これがなんだったのか、何があったのか結局何もわかりませんでした。
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