狙われてますっ!
「む、昔、萩とか山陰の方で見た気がするあれです」

「……昔、萩とか山陰の方で見た気がするあれがよくわからないが。
 萩は修学旅行のとき立ち寄っただけだから。

 今度行ってみるか」
と言って、求は笑った。

 よ、よかった。

 会話つづいた。
 そうだよな。

 この間は普通に話せたもんね、と汐音が思ったとき、ガチャリと玄関の扉が開いて、

「お待ちしておりました。
 狭間(はざま)様、求様」
と立派なレストランのウエイターのような人が現れる。

 ……シェフだけ雇ったわけではなかったのか。

 っていうか、なんにもくつろげないっ、と思いながら、汐音は求の後について行った。





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