狙われてますっ!




「いや、もう駄目かなって思うんだよね……」

 そんなことをぐずぐず言う武志とともに、週末、求は花火会場の近くの公園に来ていた。

 波止場近くの此処も、寒いのに人でごった返している。

「僕の返信が悪かったのかなあ。
 なんかぎくしゃくしちゃってさ」

「いいじゃないか。
 今日、会ってちゃんと話せよ。

 文字だけのやりとりだと、誤解も生じるだろ」

「いやいやいやっ。
 文字だけのやりとりだからこそ、今まで人格が(いつわ)れてたんですよーっ」
と輝美が叫びそうなことを求は言う。

 そこに、
「お待たせしました~」
と汐音が走ってきた。

 もふもふに着込んでいるようだ……、とファー付きの真っ白なコートを着た汐音を見て、求は思う。

 この間まで見ていた汐音の原型から、1.5倍は膨らんでいる。

 まあ、元が細いから、それでもおかしくはないのだが。

 原型を知っているから、汐音が相当着込んでいるのがわかったのだ。

 汐音は温かさと可愛さで迷って、ついに温かさをとったのだ。
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