狙われてますっ!
「まだ社内で私と『渡真利さん』にあまり面識がない状態で、渡真利さんに送ってもらうとかもまずいので。

 実家からおにいちゃんに送ってもらうときも、すごく遠くに車をとめて降ろしてもらったりして」

 今、求の頭の中で、微笑んで従妹を見守る『繁さん』が、『渡真利さん』に変わった。

 胸許に消音銃を隠し、さりげなく汐音の家の前を通りながら、アパートの窓に映る汐音の影を確認する渡真利。

 ……汐音が今にも狙撃されそうで落ち着かないな、と求は思う。

「でも、私、料理も苦手だし。
 お母さんとか本当に一人暮らし心配しちゃって。

 変質者とか、生肉とかに気をつけなさいよって、手紙を送ってきたりするんです」

 何故、そのふたつ。
 いや、言いたいところのことはわかるのだが……。

 求の頭の中では、変質者が骨つきの生肉の塊をつかみ、汐音に殴りかかってきていた。

 ……冷凍なら死ぬな、と思う。
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