蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


 そう言って私に確認してきた柚瑠木(ゆるぎ)さんの視線は鋭く、私の手首を掴む力はいつもよりもずっと強かったんです。私が香津美(かつみ)さんや聖壱(せいいち)さんに勝手に相談したことを怒っているのでしょうか?
 ……でも柚瑠木さんの表情は怒っているというよりも、何かに焦っているように見えたんです。

「……答えてください、月菜(つきな)さん。」

 柚瑠木さんと契約結婚して最初は戸惑う事ばかりでしたが、今はお互いに色んなことを話せるようになりました。相手の事を【特別】な存在だと、認め合ったはずです。
 ですが、柚瑠木さんはいつになっても大事な事を隠したままで……

「もし……聞いていたら柚瑠木さんはどうするのですか?私から逃げますか?」

 柚瑠木さんの言う《《あの事》》が、何を意味するのかを私は知りません。そこまで私に知られたくない理由も、何も彼は話してくれませんから。
 
「……逃げるのは、月菜さんの方でしょう?いつかは僕を置いて。」

 柚瑠木さんは俯くと、苦しそうにそう言ったんです。その言葉を聞いた瞬間、頭にカッと血が上る感覚……そう、怒りを感じたんです。
 私は柚瑠木さんを受け入れたい、傍にいると何度も伝えたはずなのに。それを全く信じていてくれていなかったなんて。

「逃げません、私は柚瑠木さんと向き合いたいんです!貴方の闇も苦しみも全部分かち合いたい、柚瑠木さんはどうなんですか?」


< 157 / 237 >

この作品をシェア

pagetop