蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


 私は少しだけ迷い始めていました。こんなに柚瑠木(ゆるぎ)さんに辛い思いをさせてまで、この話を続けてもらうべきなのかを。
 柚瑠木さんを悪夢から救いたい気持ちに変わりはないけれど、私だって彼の苦しむ顔を見るのは辛かったんです。それに柚瑠木さんが、真澄(ますみ)さんの事をどれだけ想っていたのかを思い知らされるばかりで……

 それでも柚瑠木さんの話をきちんと聞かなければ、彼の闇を理解し癒すことなど出来ないし、私たちの関係も変えられるはずがありません。
 ……それに私が今ここから逃げてしまったら、次はきっと来ないはずですから。
 
「その話を、詳しく聞いてもいいですか?」

 柚瑠木さんは静かに頷くと、そっと私の隣に腰を下ろしました。膝の上で重ねていた私の両手に、彼の大きな手が重ねられて……
 今の私の心は不安でいっぱいですが、それは隣に座る柚瑠木さんだって同じなんですよね。それでもお互いに相手の事を受け入いれたい、受け入れられたいと思うからこうして向き合ってるんです。

「真澄さんが二階堂の家に通うようになって半年ほど過ぎたある日、数人のクラスメイトが僕に会いに来たんです。もうすぐクラス別の発表会があるのでお前も参加しないか、と。」

「発表会、ですか……」

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