蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


【教え子を庇った家庭教師、飲酒運転のバイクにはねられ重傷】

 そんな見出しで始まった記事……飲酒運転のバイクから身を挺して教え子を守った愛情深い家庭教師、そのような事が書かれていて。事故にあった女性の名前は、(なぎ) 真澄(ますみ)
 彼女が守ったという、教え子がきっと柚瑠木(ゆるぎ)さんなのでしょう。ですが、その小さな新聞記事には詳しい事は書かれてはいなくて……

「柚瑠木さん、真澄さんの怪我は大丈夫だったのですか?」

 柚瑠木さんは真面目で人に対して誠実な方です。彼を庇った真澄さんが怪我を負ってしまったことで、きっと酷く自分を責めてしまったはず。
 もしかして、それが毎晩(うな)されている理由なのかと思ったのですが……

「……真澄さんの怪我は、綺麗に治ったそうです。僕はあの事故の後、彼女には一度も会わせてもらえなかったので。」

「どうしてですか?」

 その事故で彼女に守られた柚瑠木さんが、助けてくれた真澄さんに会わせてもらえないなんて。いったい何があったのでしょうか?

「僕が悪いんです。あの時僕があんな我が儘を言いさえしなければ、真澄さんが僕を庇って怪我をする事なんてなかったのに……」

 柚瑠木さんの苦しげなその表情に、彼の心の傷は事故によるものだけではないという事が何となく分かって。


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