蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「はい……」
もしこの手を離したかったとしても、こんなに強く握られていては出来ないと思うんです。もちろん私も彼に繋がれた手から逃げる気なんて少しも無いのですけれど。
柚瑠木さんから言われた「許しませんから」という言葉が、こんなに嬉しく感じるなんて……自然と緩んでしまいそうになる頬を手で押さえて隠します。
再び歩き出した柚瑠木さんと、二人並んで歩きます。今まではずっと彼の後ろをついて行くだけだったのに、私達はこうして隣同士を歩けるほど近い関係になることが出来たんですね。
マンションに着くと、すぐにオートロックに部屋番を打ち込み呼び出しボタンを押した柚瑠木さん。いつもと変わらない冷めた表情ですが、きっと彼も緊張しているのでしょう。隣にいる私だってそうなんですから。
『はーい。あら、どなた……?』
スピーカーから聞こえてくる女性の声、もしかしてこの声の主が真澄さんでしょうか?ですが、彼女はカメラに映った柚瑠木さんを見て戸惑っているようで……
「僕は二階堂 柚瑠木です。お久しぶりです、真澄さん。」
『ゆる、ぎ……?貴方は柚瑠木君なの!?』
彼女はそう驚いた声を上げて、すぐにガタガタ、バタン!という大きな音が聞こえたのですが……その後、真澄さんからは何も返事がこなくなってしまったんです。