蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


真澄(ますみ)さん……?真澄さん、どうしたんですか。」
 
 柚瑠木(ゆるぎ)さんも心配そうに彼女の名を呼びますが、そのまま「ツーッ」っと通話は切れてしまったんです。思わず柚瑠木さんを見上げると、彼は少しだけ悲しそうな顔をしていて……

「……今更、僕の顔なんて見たくなかったんでしょうね。彼女をあんな目にあわせておいて、のこのこと会いに来るべきじゃなかった。」

「柚瑠木さん……」

 柚瑠木さんがどれだけ勇気を出して、真澄さんに会いに行くことを決めたのかを私は知っています。それなのに、直接会って話す時間も真澄さんはくれないのでしょうか?
 いいえ、柚瑠木さんが心を開いて慕った人がそんな冷たい態度をとるような方だとは思えません。

「柚瑠木さん、もう一度だけ……」

 真澄さんを呼び出しましょう?そう言いかけたのですが、柚瑠木さんはわずかに微笑んで見せると……

「いいんです。自分の心の整理をしたい、そんな僕の我が儘に真澄さんを無理に付き合わせる訳には行きませんから。行きましょう、月菜(つきな)さん。」

 そんな風に言われては、第三者の私からは余計な事をするわけにもいかなくて。 
 柚瑠木さんから繋がれた手を優しく引かれ、諦めて真澄さんのマンションを出ようとしたその時――――

「待って、柚瑠木君!」


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