蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「私、簡単に騙されてしまって。柚瑠木さんに迷惑を……」
香津美さんのおかげで少しだけ落ち着いてきたので、今の状況を理解出来ました。けれどこのままだと間違いなく柚瑠木さんを困らせてしまう事になるでしょう。
少しでも彼のお荷物にはなりたくなかったのに――――
「大丈夫よ、貴女は絶対に私が守ってあげるから。」
悔しさと情けなさでどうしようもなくなっている私の事を、香津美さんは優しく包んでくれました。とても暖かいです、もし姉がいたとしたらこんな感じなのでしょうか?
思わず私も香津美さんの背に腕を回していると、部屋の扉が開き先程の男性達と数人の男女が入ってきました。
入って来た人達は私や香津美さんをジロジロと見た後、楽しそうに話しを始めました。
「ほお、彼女達があの生意気な聖壱と二階堂 柚瑠木の奥さんかね。なるほど、聞いてはいたが二人には勿体無いほどの美人だな。」
どうしてこの人達は柚瑠木さんや狭山さんのことを知っているのでしょうか?この人たちの本当の目的は私達ではなくもしかして……?
「本当ね、しかもあの子たちこの娘たちの身内から支援してもらい放題らしいじゃない?本当にあの子達ばかりいつも良い思いをして……」
この人達はさっきからいったい何を言っているのでしょうか?私の親族は柚瑠木さんをそんな特別扱いなんてしていないのに。それに柚瑠木さんは妻の私に簡単に甘えるような人ではありません。
……あまりにも勝手な思い込みに、柚瑠木さんの妻として怒りすら感じてしまいそうです。