恋愛アレルギー
あたしが読んでいるものよりずっと難しそうなその本に興味が沸いて、自分から声をかけた。


「田村くんはいつもなにを読んでいるの？」


本から顔を上げた田村くんは少し驚いた顔をしていて、あたしは読書の邪魔をしてしまったかもしれないと少しだけ後悔した。


しかし田村くんはすぐ笑顔になって、本の表紙を見せてくれた。


それは《シャーロックホームズ》と書かれていて、あたしは「あっ」と、声を上げた。


この有名な本はあたしも知っている。


ホームズという探偵と、ワトソンという助手が事件を解決していくお話だ。


たしか、映画にもなっていたはずだ。


「推理小説を読むなんてすごいね」


あたしは目を輝かせて言った。


難解な事件を解き明かすお話は読んでいてもとても難しく感じる。


トリックの説明が書かれていても、それがなかなか理解できなかったりもする。


「読み慣れてくれば誰でも読めるようになるよ。児童書でも、トリックを使ったお話の本はあるよね？」


そう言われて今度はあたしが目を見開く番だった。
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