政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
表立って私を問い詰める人はいなかったが、噂はたちまち広がった。
ついにバレてしまった。私と夏樹は親が決めた形だけの許嫁で、お互い利益があるからそばにいる。噂通りで間違っていない。
しかしそれを周囲に知られるのは、なぜだかすごく嫌だった。
同級生たちにどう思われたか怖くなっていた、ある日の放課後。
夏樹がアベリアの校門前で待っていた。
「……どうしたの?」
用事がないのに私を迎えに来ることはなかったため、私は壁に寄りかかる彼にそう尋ねる。
周囲ではアベリアの女子たちが夏樹の登場に騒いでおり、〝あの噂〟の真実がついに明かされてしまうと思った。
しかし──
「悪かったよ、桃香。謝るから、もう機嫌を直してくれ」
夏樹は私に近づき、引き寄せて、皆の前でキスをしたのだ。