政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
「夏樹?」
透き通る桃香の声と覗き込む瞳、そして目の前のテーブルに置かれた野菜と肉の香ばしい匂いに、飛んでいた意識が戻った。
返事が出来ず、くの字のソファの隣に腰を下ろした彼女を黙って目で追う。
「な、なによ。どうしたの」
妊娠していても桃香の魅力は変わらないのに、もう半年も触れられていない。喉が焼け付くほど求めたくなるのはそのせいか。
桃香の猫目に覗かれると誘われている気分になり、判断力が鈍る。そこへ欲求不満が加わり、気づけば無意識に手が伸びていた。
「えっ、夏樹っ」
「……桃香」
転ばせないように慎重に手首を手繰り寄せ、ゆっくり膝に座らせる。横向きに抱え、桃香が足が楽に放れる姿勢に整える。
「ちょっとやだ、重いからっ……」
柔らかさに眩暈がする。ちょっと触れ合いたいと思っただけで、余計なことをする気はなかった。しかし腹が減りすぎた獣の俺は、目の前の獲物に噛みつかずにいられるはずがなく。