政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
仕事と家のことを両方やらなければならないなんて、いくら要領のよい夏樹でも負担になるだろう。
休みながらでも、私がやれることはまだある。
しかし、夏樹の迷いのない目に、私はハッとした。
私が家にいないほうが、彼にとって都合のいいことがあるのだろうか。
『うちの奥さんも、少しは飯田さんを見習ってほしいですよ』
まさか、飯田さんに来てもらうつもりとか?
私よりも仕事ができる彼女は、家事だって得意なのだろう。あのときの電話のように、夏樹が女性にあそこまで認める言葉をかけるのは珍しいし、相当親しい仲に違いない。
飯田さんを連れ込む理由ができるから、私が家からいなくなることに乗り気なのだとすれば、合点がいく。
「な。桃香も実家でゆっくりできた方がいいだろ?」
「……夏樹……」
結論の出ないやり取りが続き、先生は「それも含めて、診察してみましょう」と私とともに別室へ移り内診を始める。