死にたがりな君と、恋をはじめる
『奈月~、早く食べたほうがいいんじゃない。
奈月がいつも何時に家を出るか知らないけど、だいぶ遅いよ?』
「……え?」
いやいや、そんなわけない。
そんなにやばい時間だったらいつもは誠おばさんが起こしてくれるはず……。
そう自分に思い込ませて、時計を振り返る。
ぶふっと紅茶を吹き出しそうになるのを何とか抑えて、
時計を見る、と。
時計の針が指していたのは、8時過ぎ……⁉
うわ、やばいっ……!
それを確認した私は、がたんっと勢いよく椅子から立ち上がった。
「奈月ちゃん? どうしたの?」
「ごめん、誠おばさん。ごめん! 早くしないと遅刻しちゃうからっ」
「えぇっ?」
目を丸くさせたおばさんに、急ぎつつ謝る。
パンを急いで紅茶で飲み込む。
「ごめんねっ、奈月ちゃん!
昨日夜遅くまで起きてたから私も今日起きるの遅かったんだっ!」
「いや、おばさんのせいじゃないよっ」
そうだ、おばさんって普段はしっかりしてるけど、時々抜けてるんだった……!
二階の部屋に戻って、急いで制服に腕を通す。
そして、いつものようにカバンに教科書を入れようとして、ふと思った。
……昨日死のうとしたのに、自殺に失敗して、今日も制服に身を包んでいる。
学校に行きたくなくて、いじめから逃げたかったのに。それなのに。
今までと同じように、遅刻しないようにって、今日も急いでいる。
変えたい日常は、何も変わらず、今日だって、
いつもと同じように学校へいこうとしている。
結局何も変えられていない自分が馬鹿みたいだ。
奈月がいつも何時に家を出るか知らないけど、だいぶ遅いよ?』
「……え?」
いやいや、そんなわけない。
そんなにやばい時間だったらいつもは誠おばさんが起こしてくれるはず……。
そう自分に思い込ませて、時計を振り返る。
ぶふっと紅茶を吹き出しそうになるのを何とか抑えて、
時計を見る、と。
時計の針が指していたのは、8時過ぎ……⁉
うわ、やばいっ……!
それを確認した私は、がたんっと勢いよく椅子から立ち上がった。
「奈月ちゃん? どうしたの?」
「ごめん、誠おばさん。ごめん! 早くしないと遅刻しちゃうからっ」
「えぇっ?」
目を丸くさせたおばさんに、急ぎつつ謝る。
パンを急いで紅茶で飲み込む。
「ごめんねっ、奈月ちゃん!
昨日夜遅くまで起きてたから私も今日起きるの遅かったんだっ!」
「いや、おばさんのせいじゃないよっ」
そうだ、おばさんって普段はしっかりしてるけど、時々抜けてるんだった……!
二階の部屋に戻って、急いで制服に腕を通す。
そして、いつものようにカバンに教科書を入れようとして、ふと思った。
……昨日死のうとしたのに、自殺に失敗して、今日も制服に身を包んでいる。
学校に行きたくなくて、いじめから逃げたかったのに。それなのに。
今までと同じように、遅刻しないようにって、今日も急いでいる。
変えたい日常は、何も変わらず、今日だって、
いつもと同じように学校へいこうとしている。
結局何も変えられていない自分が馬鹿みたいだ。