死にたがりな君と、恋をはじめる
そう言いくるめられそうになって、私はいやいやいやっと首を振った。
「学校がある、なしにしても、私はもう、すぐ、今すぐ死にたいの」
『いいじゃん。一日くらい遊ぼうよ』
「い、や、だ。じゃあ、私もう行くから」
そう言ってフェンスを乗り越えようとすると、レイはえーっと頬を膨らませ、そして、ぱちんと指を鳴らした。
すると、周りの景色がぱちんと切り替わって、気が付けば私は、自分の部屋のベッドの上にいた。
……っえ?
私は、ぱちぱちぱちっと高速で瞬きを繰り返した。
何、これ……瞬間移動した……?
そして、いつもと変わらずふわふわと浮かぶレイに視線を向けた。
すると、レイは得意げな顔で笑っていて、両手でブイサインをした。
『はい、俺の勝ち』
「……っはぁっ⁉」
それで、私はようやくこれもレイの能力の一つだと気が付いた。
「ず、ズルっ、ズルい……能力使うなんて卑怯だ……」
私がぎりっと歯ぎしりすると、レイはフッと笑って、私の頭を撫でた。