死にたがりな君と、恋をはじめる
ばたんっと勢いよく閉めたいところを我慢して、


そっと扉を閉めて、私は天井を睨みつけた。







そこにはしっかりと『彼』が浮かんでいる。





『君は息をするように嘘をつくね。

君、死のうとしてたくらいだし、一緒に遊ぶ友達とかいないでしょ』






ふわ~っと宙に浮かんで、腕を組む彼から、私は諦めて目をそらした。






先ほどまでと相変わらず、黒い髪と黒い瞳が印象的だ。




唯一違うのは、その瞳が証明に照らされて爛々と光っていること。







「……やっぱり、幻覚じゃない」





自分で自分を追い詰めすぎて、幻覚でも見たのかもしれないと、思ったんだけど……。




どうやら、違うみたいだ。








こんなものが見えるようになってしまって、もう自殺する気分にはなれなくて、

しぶしぶ今日は断念することになった。



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