死にたがりな君と、恋をはじめる




「なんか意外だね? 奈月ちゃん真面目っ子と思いきや結構不良?」







「あはは。私そんなに真面目じゃないよ? それに、不良でもないしね?」












笑いながら会話していながら、椅子に座った。














しばらくして誠おばさんがお皿を前に置いてくれる。















白いお皿にはカリカリに焼かれたベーコンと目玉焼きがのっていて、脇にはビニール袋がおかれた。










「え、誠おばさんこの袋何?」






「昨日の夕方買ってきたの~。有名なパン屋さんで、おいしいらしいよ」















首を傾げ疑問を投げかけると、誠おばさんがニコニコと答えてくれた。



















へえ~と納得し、ビニール袋からパンを取り出して口に運ぶ。











わぁ、美味しい。














流石有名店。











期待を裏切らない美味しさだ。














目玉焼きの黄身は半熟で、ベーコンも香ばしい。












ゆっくりと朝食を楽しみ、ご馳走様でしたと両手を合わせた。











それから席を立ち、床に置いていたカバンを肩にかけた。













「それじゃあ、行ってきます」




『行ってきま~す』











「はいっ。行ってらっしゃい! 気を付けてね!」















私とレイが声をそろえて言うと、誠おばさんが玄関先までお見送りに来てくれた。















ドアを開けて外に出る。










夏とはいえ、朝の気温は低くて、冷たい風が頬を叩いた。











大きく深呼吸すると、肺を清々しい朝の空気が満たした。














……朝って、気持ちいいな。












朝起きるのは苦手だけど、朝のこの澄んだ綺麗な空気は嫌いじゃない。












まぁ、嫌いじゃないからと言ってこれからは朝早く起きようとは思わないけど。






ふっと息を吐くと、前を向いて歩き出した。
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